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この結果から、現在の圧縮比のままでは、ミラーサイクルにより吸気弁の早閉じを行っても、燃焼最高圧力は200kgf/cm2を超えてしまうことがわかった。(図9)
圧縮比を変更した場合についてシミュレーションを行ったところ、圧縮比を従来の13.6から12以下にする必要があることがわかった。(図10、11)
このため、連接棒小端軸受に偏心軸受を採用することにより、ピストン頂面の位置を2mm下げるとともに、ピストン頂面の外周部(ピストンのバルブ逃げ凹凸部)をフラットにし、燃焼室の容積を増加させた。
この結果、圧縮比を従来の13.6から11.9に低下することができた。(図12)
また、圧縮比を変更した場合のサイクルシミュレーション結果を基に、ミラーサイクル用吸気カムのプロファイルを決定した。(図13、14)

 

3.2 給排気システム(過給機)検討

サイクルシミュレーションの結果より、ミラーサイクルを成立させるためには、従来にない高い給気圧力が必要であることがわかった。
この給気圧力を達成するためには、従来の過給効率を向上させた超高圧過給機を開発し、更に過給機を直列に接続する2段過給方式を採用することが必要である。
また、低負荷域では排気ガス量が少ないため、排気タービンを十分に回転させることができず、必要な過給効率が得られない。
このため、V型機関(プロトタイプエンジンや260mm試験エンジン)のように通常2台の過給機を並列に使用する場合は、十分な排気ガス量が得られる高負荷時は2台の過給機を使用し、排気ガス量の少ない低負荷時は1台の過給機のみを使用することにより、過給効率を向上させるシーケンシャル過給方式について検討する必要がある。
プロトタイプエンジンを想定した場合、上記の「超高圧過給機」、「2段過給方式」、「シーケンシャル過給方式」のいずれも適用することを考えなければならない。

 

 

 

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